日本ヒューレット・パッカード(現:ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)からセールスフォース・ドットコムへ。2016年当時、最年少で営業部長に就任した作田遼さん(35)を取材。「常にセールスとして進化し続けたい」――彼の仕事観に迫った。
なぜ今、Salesforceの導入が加速しているのか
「第4次産業革命」が到来へ――ビジネスの変化が激しさを増している。
経済産業省は2018年に発表した「DXレポート」で、“IT人材の不足や高齢化、大規模システムのサポート終了といった問題も重なり、2025年以降に年間12兆円の経済損失を生む「2025年の崖」が来る”と警鐘を鳴らす(*1)。
DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組まなければ企業の淘汰が加速度的に進むという予測も。多くの企業においてDXやデータ化社会への対応が最重要課題となり、デジタル変革のスピードが5年後、10年後の命運を分けるとも言っていい。
そういった中、存在感を増すのがセールスフォース・ドットコムだ。
「どうすればクライアントが勝ち続けられるのか。Salesforceという1つのプラットフォームを使って、分断されていたデータをかけ合わせていく。意思決定のスピードを早め、クライアントのビジネスをドラスティックに変えていく」
こう語ってくれたのが作田遼さん(35)だ。日本ヒューレット・パッカードからセールスフォース・ドットコムへ。2016年には当時最年少で営業部長に就任。彼が考える、未来志向のセールスとは?
「どこでも戦えるビジネスマン」を目指して
もともと日本ヒューレット・パッカードにて製造業向けのアカウントマネージャーとして活躍した作田さん。当時20代後半という若さで「幹部候補生」にも選出されていた。
順風満帆なキャリアを歩んでいたようにも見えるが…?
「会社から期待されることは純粋に嬉しく、応えたいと思っていました。ただ一方で、自分にはその評価に足る力が本当にあるのか。ある種の危機感がありました」
実際に、クライアントと対峙する中で、自らの力量不足を感じる場面も少なくなかったという。そういった中、セールスフォース・ドットコムへの転職を選んだ理由とは。
「変化の激しい時代、自分のキャリアを考える上で、進化し続けなければ、という思いが強くなっていきました。セールスフォース・ドットコムでは、経営層と直接対峙して”事業を変革しよう” ”ビジネスモデルを変えよう” という企業にとって最も重要なタイミングで提案を行います。プロダクトセリングではなく、経営目線で提案できる環境。セールスとして、これほど鍛えられるフィールドはないのでは?と感じたんです」
新卒から慣れ親しんだ環境を飛び出し、次の舞台へ。そこには葛藤もあった。
「セールスフォース・ドットコムは優秀なセールスの集団だと日頃から聞いていました。生半可な気持ちじゃ成果は残せない。自分は通用するのか?正直、転職をすると後悔するかもしれない…と」
ただ彼の背中を押したのは、当時のクライアントからの言葉だった。
「”後悔したかどうかは君が決めればいい”。その言葉にハッとしたんですよね。もし自分の力が通用しなかったとしても、それが成長の糧になるのなら、後悔はない。それなら、営業として成長できる最高のフィールドで自分の力を試したい!」と。
クライアントが勝つためのストーリーを描く
そして新たな舞台へ。作田さんは当時をこう振り返ってくれた。
「最初の半年は思うように成果を残せなくて。提案書に対して上司からフィードバックをもらうのですが、何がだめなのか理解できませんでした」
過去の成功体験に固執しても、一生成果は残せない。そう感じた彼は行動を起こしていく。
「周りの優秀な人達を徹底的に観察しました。優秀なセールスはクライアントとどんな話をして、どんな提案をしているのか?商談に同行させてもらい、とにかくメモを取る。自分が提案する際も、一度の提案で複数人に意見をもらう」
これはセールスフォース・ドットコムのカルチャーにも通じる部分だと言っていいだろう。
「周りを見渡してみると、優秀な同僚は全員が上司だけでなく周囲のメンバーにも教えを乞う、頼ることを当たり前のようにやっています。いい意味で、頭を空っぽにできる吸収力のある人たちばかり。このような方々の観点を真似して盗んでいけば、必ず成長できると思えました」
こうした行動を積み重ね、セールスとして飛躍していった彼。さらに、セールスフォース・ドットコムのセールスとして重要なスタンスをこう語ってくれた。
「私達の価値は、機能や価格ではありません。カスタマーサクセス、つまりクライアントの事業を成長させること。だからこそ、クライアントの表層部分だけを見ていてはいい提案に繋がりません。業界、企業によってもプロセスはまったく違う。だから営業活動であれば毎回、どういうきっかけで案件が発生するのか、どういう形で受注に至り、売り上げになるのか。課題になっている部分を徹底的に探るところから始まるんです」
いかにクライアントを「勝ち続け」させるのか。ここに、セールスフォース・ドットコムの存在意義がある。
「よくクライアントからは”ここまで考えてくれたのは御社だけだ!”という声をいただきます。経営層が何を求め、どういう情報を喜んで下さるのか?インプット量が増えれば増えるほど、研ぎ澄まされていく感覚があります。やりがいを感じる瞬間です。」
営業部長への昇格。失敗を経て次の挑戦へ
セールスとしての活躍を積み重ね、31歳という若さで当時最年少営業部長に。ただ、その中にも大きな壁があったという。
「私が配属されたのは、本部内でNo.1の結果を残し、非常に優秀なメンバーが集まるチーム。自分の価値を最大限に発揮してさらに最強のチームにしたい!と意気込んで着任しました。セールスとしての経験や自信もあり、新たな挑戦にワクワクしていました。ただ、私が部長になった途端に、チームの数字が半分以下に落ちてしまったんです」
そのときのストレスは想像以上のものだったという。
「ただただ私の力不足で。メンバーにも申し訳ない気持ちしかありませんでした。毎日皆を励ましながら、心の中では”部長を降りよう”と腹をくくり始めていました」
そして年度末の最終週、彼にとって大きな転換点となる出来事が。キッカケとなったのは、社内SNS「Chatter」に投稿されたメンバーからの言葉だった。
″このチームでやるのもあと5日。数字が停滞した時期もあったけど、作田さんからは新しい大切な事をたくさん教えてもらった。作田さんを最後男にするためにも、必ず達成しましょう!”
″小さな進捗も皆で共有していこう” ”みんなで盛り上げていこう!”
他のチームメンバーからも200件を超えるコメントがつき、メンバーへの感謝の気持ちと、自分自身の士気が高まっていくことを感じたという。
「その中で気づいたんです。『営業部長』というチームをマネージする立場になってもプレイヤーの癖が抜けていなかったんだと思います。常に”自分がどうするか”と、自分のことしか考えていなかったな・・・と反省しました。」
こうして営業部長就任1年目は、就任以来初の月間達成で幕を閉じた。以降、2020年1月までの27ヶ月間、連続で月間達成を実現しているという。
「興奮」と「安心」が共存する組織を
取材終盤に語られたのが、彼の仕事観について。
「メンバーが最大のパフォーマンスをあげられる風土を作る。優秀なメンバー同士を、一体感や楽しさを通じて掛け合わせていく。それが、”マネジメントとは”という問いに対して出た僕なりの答えです」
2020年2月からは新たなミッションに。コマーシャル営業 ストラテジック営業本部 本部長として、新たな組織を創り上げていく。
「やるからには、メンバー全員が ”人生の中で一番成長できた一年だった”といえるようにしたいです。皆が想像している二段階ぐらい上の成長をサポートしていくことが私の役割。楽しみしかありません」
プレッシャーや壁を乗り越え、進化を続けていく――作田さんにとって仕事とはどういう存在なのだろうか。
「まず、自分の捉え方1つで楽しいと思えるのか辛いのか、まったく変わると思います。私は、高い壁を乗り越えるのが楽しくてしょうがない。根っからのポジティブなんです(笑)」
「自分が通ってきた道のこと、得てきた力はすべてメンバーに伝え、メンバーのことは私が全力で守っていく。興奮と安心が共存する場所を作り、切磋琢磨しあっていく。そうすれば私達ははもっと遠くまで行けると思います」
2020年、作田さんの新たな挑戦の物語がはじまっていく。
"君" - Google ニュース
March 02, 2020 at 08:03AM
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「後悔したかどうかは君が決めればいい」転職を決断したのはクライアントの言葉だった。 - ハフポスト日本版
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