楽天の石井一久監督(47)が27日、開幕投手(3月26日・対日ハム戦)に涌井秀章(34)を指名、注目のメジャーから凱旋帰国した田中将大(31)は開幕第2戦に先発させることを明言した。贅沢な起用法は、中日監督時代の落合博満氏が2004年にエースだった川上憲伸氏を開幕投手から外し、ヤクルトからFA移籍後、1勝もしていなかった川崎憲次郎氏を開幕にサプライズ指名して優勝した“ローテーずらし戦略”に重なる。8年ぶりの頂点へ。GM兼任で初タクトをふるう石井監督は意外と策士なのかもしれない。
ヤクルトとの練習試合で見せた修正力
一瞬「ふふっ」と笑ったマー君は、その後、少し首をひねってマウンドを降りてきた。20日の日ハム戦(金武)に続く2度目の対外試合登板。ヤクルトを相手に先発した田中は初回一死一、二塁で21歳の燕の4番、村上にカウント3-1から148キロのストレートを一、二塁間に弾き返され1点を失ったが、続く2回、3回をノーヒットに抑え込んだ。まだ日本式のしかも公式戦が行われる球場のマウンドよりさらに柔らかい沖縄・浦添のマウンドに戸惑い、足元を気にするシーンや投げた後にバランスを崩すケースも目立った。指のかかり具合などの繊細な感覚や制球は未調整。 おまけに初回には山崎に走られ、村上にまで簡単にフォームを盗まれて二塁を許した。だが、1球、1球、ステップを含めた下半身の踏ん張りと上半身のバランス、力の入れ具合を調整しながら修正。2回にはツーシームでボールを動かし、山崎をレフトフライに打ち取ったボールは149キロをマークした。3回には塩見をインハイのストレートでスイングアウト、村上との2度目の対戦ではスプリットを連投してセカンドゴロに打ち取っている。 「自分の中で1戦目に投げたときよりも感触もステップアップもできた。課題も見えてきたので意味のある登板だった」 NPBバージョンへの“模様替え”に田中なりにメドが見えたのだろう。日本式マウンドでの投球フォームの安定と制球、加えてクイックや牽制などの走者対策が残っている。田中はスプリットの握りのままグラブに入れるので、日本独特の“文化”である癖のチェックも行わねばならないが、それらのクリアすべき課題は難題ではない。
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