ロッテ美馬学投手(35)と楽天田中将大投手(32)が投げ合った。ともに楽天投手として巨人との日本シリーズ第7戦で継投し、日本一に輝いた13年11月3日以来、2757日ぶりの“共演”。2人とも7回1失点で粘りきった。テンポの良い投球がファンを魅了した。試合は2人が降板した直後の8回、ロッテが2本塁打で白星をつかんだ。

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軽快なリズムも、勝負どころでは話が別だ。同点の7回2死二塁、打席に楽天辰己。美馬はファウルとボールを繰り返され、そのたびにマウンドの後ろに下がって思案した。

「結構ポンポンっていっちゃって、(積極的に)いかれているイメージだったので、自分の中でちょっと1回落ち着いて頭を整理して投げる球を考えて、というのは意識して」

8球目、5球連続のフォークで右飛に打ち取った。ほえずとも、貫禄のガッツポーズ。「(僕が)2つ上ですけど、神様です」と田中将について話したことがある。でもやっぱり意地がある。「一応年上なので、先に降りないようにとは思ってました」。7回5安打1失点で粘り切り、ZOZOマリンに長い拍手が響きわたった。

同じマウンドで歓喜へとつないだ日が懐かしい。「要所で抑えるとかっていうピッチングはやっぱりさすがだなって」と笑みがこぼれた。5回終了で73球、7回終了で109球。同71球、102球だった田中将とペースも似た。「ああいう展開になると、ゼロが続いたりっていう展開になりやすいので、お互いにそういう投球になったんじゃないかなと思います」。潮風協奏曲が、赤く染まったマリンに心地よく奏でられた。

ともに東北で夢を追ったのは3年間。田中将がメジャー挑戦の意を固めたころ、美馬は結婚した。それぞれの新たなスタートから、7年少々の月日が流れた。1歳の長男もすくすく育つ。「子どものためにも家族のためにも。子どもが理解してくれるところまでやりたいとは思っているので」。今季はこの日を終えて8試合で850球。培った技術と勝負勘は、すごみを増すばかりだ。【金子真仁】

◆13年日本シリーズ第7戦VTR 楽天が3投手の完封リレーで巨人を3-0で下し、球団初の日本一に輝いた。楽天は1回に敵失で先制すると、2回に岡島の適時二塁打で追加点。4回には牧田のソロ本塁打でリードを広げた。先発の美馬は6回を被安打1に抑えて無失点。2番手の則本も2回を無失点とし、9回に田中が登板。2安打を喫しながらも、最後は代打の矢野を打ち取りガッツポーズ。巨人打線を最後まで沈黙させた。

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