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Tuesday, July 6, 2021

香りの器展(1)香りとは・上 人に及ぼす不思議な力 - 秋田魁新報

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芳香を漂わせる美郷町のラベンダー園=6月下旬
芳香を漂わせる美郷町のラベンダー園=6月下旬

 香りは古代から人々と共に存在し、暮らしに彩りを与えてきた。17日に秋田市中通の秋田市立千秋美術館で開幕する展覧会「香りの器 高砂コレクション」には、香料製造の国内最大手である高砂香料工業(東京)が収集した香水瓶や香道具など、古今東西の名品約230点を展示する。香りの歴史や文化、同社の歩みと併せ、多彩な展示品を紹介する。全9回。

 ◇  ◇

 6月下旬の晴れた日、美郷町千屋のラベンダー園では紫と白の花々が一面に広がり、甘く爽やかな香りを漂わせていた。「園に入った途端、フレッシュな香りが漂ってきた。安らいだハッピーな気持ちになる」と、訪れた秋田市の菊地真梨奈さん(37)が話した。

 香りが気分にもたらす作用は、人間がにおいを感じ取るメカニズムに関係しているとされる。においの分子は鼻の奥の嗅細胞で感知。認識した情報は、神経を経て感情に関わる扁桃体(へんとうたい)のある大脳辺縁系へと伝わっていく。

 「ニオイの不思議」(赤壁善彦著、フレグランスジャーナル社)によると、この伝達経路の影響により、香りが感情や欲求といった情動を引き起こすほか、自律神経や免疫の調節に作用するという。同書には「ある種の香りを嗅ぐことによって心身を正常な状態へ回復させることが期待できます」とある。

 香りには変わった効能もある。懐かしい記憶が呼び起こされるというものだ。そんな情景は、しばしば歌になる。最近では瑛人さんの「香水」。「君のドルチェ&ガッバーナのその香水のせいだよ」と、かつての恋心を思い出す。

 この現象は「プルースト現象(効果)」と呼ばれる。マルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」で、主人公が紅茶に浸したマドレーヌの風味で幼少期を思い出す場面にちなむ。扁桃体と同じ大脳辺縁系の一部で、記憶をつかさどる海馬に、においの情報が伝わり起こるとされる。

 香りを感じる嗅覚は、視覚や聴覚、触覚、味覚と並ぶ五感の一つ。動物にとっては食料探しや外敵の察知、繁殖相手との絆の形成など生命や種の維持に欠かせない。

 人間も食べ物の安全性をにおいで判別することはあるが、動物に比べると生命維持に関する機能面よりも、感情や気分、記憶といった情緒面で語られる場面が多い。独特な感覚器官といえそうだ。

展覧会の詳細はこちら
「香りの器~高砂コレクション~」展

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