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Thursday, July 29, 2021

数学好きのお茶目 益川敏英さんの才能と人柄、友人らしのぶ - 毎日新聞 - 毎日新聞

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ノーベル賞受賞が決まり、舌を出して喜ぶ益川敏英さん=京都産業大で2008年10月7日、望月亮一撮影 拡大
ノーベル賞受賞が決まり、舌を出して喜ぶ益川敏英さん=京都産業大で2008年10月7日、望月亮一撮影

 素粒子物理学の分野で、クォークに関する「小林・益川理論」で2008年のノーベル物理学賞を受賞した京都大名誉教授の益川敏英(ますかわ・としひで)さんが23日、上顎(じょうがく)歯肉がんのため死去した。

 益川さんは少年時代からとにかく数学好き。友人らはその才能と人柄をしのんだ。

 名古屋市立向陽高校で3年間、理系クラスの同級生だった田中正興(まさおき)さん(82)=名古屋市=は「教室で数学の奇問を見せてきたり、面白かった数学の本について話してくれたり。学校でも数学と物理の話しかしないような変わった高校生だった。実は腕力も強く、体力測定で懸垂を延々と続けていたのも思い出。ついに益川も逝ったかと思うと寂しい。後になって心にぽっかり穴が開いてしまうだろう」と声を落とした。

 高校の同級生だった杉山茂雄さん(81)=同市=も数学の参考書に取り組み、解けるまで答えを見ず諦めない益川さんの姿が印象に残っているという。「英語など同級生の中には彼よりも優秀な人間はいたが、科学の分野では飛び抜けていた。一つのことを突き詰めた人生を歩んだと思う」と話した。

 名古屋大の研究室の4年後輩で皇学館大元教授の松岡武夫さん(77)は「徹底的に論理を突き詰め、とにかく甘いところがあればきっちり詰める人だった」。自身が修士課程、益川さんは博士課程だったが、研究室は年齢に関係なく言いたいことを言い合える雰囲気。「それが新しい発想をどんどん生み出す素地になった」と振り返る。「みな貧乏学生で、安い肉を持ち寄り、大部屋で飲み食いしながら語り明かしたのが良い思い出」と悼んだ。

 京都大理学部の研究室でともに助手を務めた元広島大学長の牟田泰三さん(84)は、かつてクォークが六つあるという益川さんの主張に「本当に6個もあると思っているのか」と冷やかしたことが長年気にかかっていた。最後に会ったのは数年前に広島大での講演に益川さんが訪れた時。「益川さんを紹介する講演のあいさつでわびられて良かった」と振り返った。益川さんの研究スタイルについては「論文をあまり書かない人。考えに考えて、慎重に出す人だった」と評する。それでも「時々打てば特大ホームランという人がいるじゃないですか。彼はそういう人だった」としのんだ。【野田樹、渡辺諒、道永竜命】

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