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Tuesday, August 17, 2021

12日まで延長は「政治判断」 透ける菅首相の再選戦略 - 朝日新聞デジタル

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漂流菅政権 コロナの時代

 緊急事態宣言の9月12日までの延長が決まった。新型コロナウイルスが猛威を振るう中での小幅延長に、9月の衆院解散の選択肢を残したい菅義偉首相の思惑が透ける。ただ、早期の感染収束は困難とみられ、期待した五輪による浮揚効果もうかがえない。首相が描いてきた政権戦略は、いま行き詰まりつつある。

 「まずはやってみることだ。欧米も、新規感染が減らない中で生活制限を解除している」。首相官邸の幹部は、今回の宣言拡大と延長にそんな見方を示した。

 4度目となるいまの宣言が東京で始まったのが、7月12日。その後、対象の拡大や期限の延長が繰り返されているが、全国で感染状況は悪化する一方だ。感染拡大がピークを打つ兆しが見えない中で、政府はなぜ12日間の延長にとどめたのか。

 コロナ対応に関わる幹部官僚は、感染状況の推移という点でみれば「12日に明確な意味があるとは思えない」。別の幹部は「政治日程が絡んでいる。政治判断で決まった」と話す。

 複数の政府関係者によると、「9月下旬」などいくつかの腹案から、最後は首相が「12日」を選んだという。透けるのは、衆院解散や総裁選の日程と、今回の宣言の期限の関連だ。

 首相の自民党総裁としての任期は9月末。首相は就任当初から、総裁選前に解散に踏み切り、衆院選に勝利することで総裁選を無投票で乗り切るという「再選戦略」を描いてきた。衆院選の勝利を掲げて総裁選に臨めば、いまの執行部への不満や批判を封じることができ、党内の幅広い支持を取り付けることができるとの計算からだ。

 総裁選は9月17日に告示し、29日に投開票することで調整が進む。宣言中に衆院を解散することには、首相に近い党幹部らも困難とみる。宣言を解除したうえで、総裁選前に衆院解散の可能性を探る――。その答えが「12日の期限」というわけだ。

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今後の主な政治日程と衆院解散の選択肢

 官邸幹部は、「政治日程を選択する幅はあった方がいい」。「9月下旬」などの期限を選べば「解散カード」をいまから封じることになり、首相の求心力が低下しかねないとの懸念も働いたようだ。

 首相は最近も、感染状況について「8月末になれば雰囲気は変わる」と周辺に話したという。月末には国民の4割が2回目のワクチン接種を終えるという想定のもと、首相周辺には「コロナをとりまく世間の不安も薄らいでくる」との期待感がある。

 感染状況が近く改善に向かい、国民のコロナへの懸念が和らぐ。9月上旬にそんな環境が整ったなかで宣言を解除し、直ちに衆院選に突入する。首相の側近たちは、なお首相がそんなシナリオを念頭に置いていると明かす。(西村圭史)

「9月解散」よりも本命の日程

 だが、新型コロナの感染拡大の波は、首相らが描く戦略を覆そうとしている。

 実際、政権内でも12日まで…

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