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Thursday, August 19, 2021

自宅療養の感染妊婦、入院できず出産し新生児死亡…治療と産科対応難しく - 読売新聞

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 千葉県柏市で、新型コロナウイルスに感染した30歳代の妊婦が、入院先が見つからずに17日に自宅で早産し、新生児が死亡していたことがわかった。妊婦は妊娠29週で、一人で自宅療養していた。感染者の急増で病床が 逼迫ひっぱく する中、コロナ治療と産科の両方に対応できる医療機関は限られており、感染した妊婦について受け入れ体制の整備の重要性が浮き彫りとなった。

 柏市保健所によると、妊婦は今月9日に発熱などの症状が出て、検査の結果、11日に感染が確認された。当初は症状が軽く、自宅で一人で療養していた。保健所は14日、初めて健康観察の電話をして、妊婦だと把握。血中酸素濃度から、入院対象となる「中等症相当」と判断し、翌15日から受け入れ先の病院を探す入院調整に乗り出した。

 しかし、入院先が見つからないまま2日間が過ぎた。17日朝に保健所が電話で体調を確認した際、妊婦が腹部の「はり」や出血を訴えたため、保健所や県、妊婦のかかりつけ医が計5回、複数の医療機関に受け入れを要請したが、入院先を見つけられなかった。

 妊婦は17日夕、自宅で男児を出産。119番で柏市消防局の救急隊員が駆けつけたが、男児は心肺停止状態で、同日午後6時過ぎ、搬送先の病院で死亡が確認された。妊婦の命に別条はないが、コロナの中等症で入院しているという。

 市保健所の沖本由季次長は19日の記者会見で、「妊婦の受け入れは、呼吸器系と産科系の連携がないと難しい」とした上で、「保健所としてもじくじたる思い。助けられたかは不明だが、もう少し早く入院できれば、手厚いケアはできたと思う」と述べた。

 秋山浩保市長は同日、読売新聞の取材に「市内の産科医ネットワークと連携して再発を防ぐ方策を考えたい」と述べた。熊谷俊人知事も定例記者会見で「入院するべき人が入院できない状況を重く受け止めている」と述べ、医療機関の連携強化を図る考えを示した。

 新型コロナに感染した妊婦について、厚生労働省は、「入院勧告」の対象としている。妊娠後期(28週以降)に感染すると、早産率や重症化リスクが高まるとの報告があるからだ。

 だが、第3波の感染拡大を受け、同省は今年2月、病床が 逼迫ひっぱく している地域では、医師が入院の必要がないと判断した場合は「宿泊施設や自宅での療養も差し支えない」との見解を都道府県などに示していた。

 千葉県も今月、コロナに感染した妊婦への入院調整手順などを作成。臨月など産科の管理が必要だったり、呼吸状態が悪化したりした場合には周産期母子医療センターなど専門の医療機関への入院対象となるが、産科管理が不要で軽症の場合は自宅療養などで対応できるとした。

 ただ、新型コロナ感染症は容体が急変する恐れもある。感染者に腹部のはりなど妊婦特有の症状が出ている場合は、感染症と産婦人科の対応が必要となり、出産は帝王切開もやむを得ないとされる。かかりつけの産科が対応できない場合、感染して異変が起きた時の入院先を、都道府県や医療機関などが連携して事前に決めておく必要がある。

 日本母体救命システム普及協議会の橋井康二幹事(産科医)は「感染急拡大で医療が逼迫する中、産科医だけでなく新生児科医もいる医療機関を探すのは難しいだろう。広域搬送も考える必要があるのではないか。妊婦と夫がワクチンを接種しやすい環境づくりも必要だ」と指摘する。

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