在日コリアンが集住する京都府宇治市のウトロ地区や、名古屋市の韓国関連施設に火を付けたとして、非現住建造物等放火などの罪に問われた奈良県桜井市の無職、有本匠吾被告(23)に対し、京都地裁(増田啓祐裁判長)は30日、求刑通り懲役4年を言い渡した。増田裁判長は「在日韓国・朝鮮人という特定の出自を持つ人々に対する偏見や嫌悪感に基づく独善的かつ身勝手な犯行」と述べた。
判決によると、有本被告は2021年7月24日、名古屋市中村区にある在日本大韓民国民団の系列施設と韓国学校に火を付け、壁などを損傷させた。さらに8月30日、ウトロ地区の空き家にオイルをまいて火を付け、周辺の住宅を含めて計7棟を全半焼させた。いずれもけが人はなかった。
一連の事件を巡っては、人種や民族など特定の属性を持つ人々への差別などから引き起こされるヘイトクライム(憎悪犯罪)に当たると指摘されている。ウトロ地区の住民や被害者側の弁護団は繰り返し「被告の差別的動機をヘイトクライムと認定し、量刑を重くすべきだ」と訴えていた。
有本被告はこれまでの公判で起訴内容を認め「韓国に敵対感情があった」などと動機を説明。22年4月に開館予定だった「ウトロ平和祈念館」について「開館を阻止する意図があった」とも述べていた。燃やされた空き家には、祈念館に収蔵予定だった看板などが保管されていた。
検察側は、有本被告が事件の前に失職したことへの憂さ晴らしが主な動機だとして「在日韓国人及びその関連団体に対して一方的に抱いていた嫌悪感から事件を起こした」と指摘していた。【藤河匠、千金良航太郎】
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