黄金ルーキーは、マー君ばりにぶれない。楽天ドラフト1位の早川隆久投手(22=早大)が2日、沖縄・金武キャンプで初のブルペン投球を行った。座った捕手へ直球のみを37球。7、8割の力感ながら、キレのある球で見守った首脳陣をうなずかせた。順調にステップを重ねれば開幕ローテ入りは確実な状況。小山投手コーチは早川の芯の強さに「そういうところは似ている」と親交の深い田中将を照らし合わせた。
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あとひとつ、とは言わない。早川が「あっ…」と声を漏らしたが「OKです」とマウンドを降りた。「ラスト3球で意識していた強い球を投げられたので、ぴったしで終わらせようと思いました」。34球目に「ラスト3球で!」と宣言。37球目がやや浮いたが、計画通りに受け入れた。
直球のみで力加減は7、8割。「今の状況でどれくらい投げられるか。アバウトに強く、自分の投げたいボールを気持ちよく投げていました」。セットポジションで23球、クイックモーションで14球。それぞれ内外へ、高スピンのキレ球を投げ込んだ。
構想通りに事を進めた。1軍メンバーの新人4投手は調整過程の大枠を任されている。前日1日は多数の投手がブルペン入りする中、自ら回避を判断。この日は朝6時45分に起床。朝食前のストレッチで状態を確認しブルペン入りを決めた。ウオーミングアップ後のキャッチボールでは「2回肩を作ると肩肘に負担がかかる」とすぐに距離をとらず、塁間程度で長くゆったりと。ブルペン投球後は石井GM兼監督、小山投手コーチにフォームへの考えをぶつけた。
新人らしからぬ振る舞いに、最強右腕が重なる。楽天創設1年目から在籍する同投手コーチは「当時と立場が違う」と前置きし「そういうところは似てるのかなと。プロで本当にやっていくにはどこにもぶれない、流されない」と親交の深い田中将の1年目とダブらせた。同GM兼監督も「すごく考えている。逆に少しアバウトな感じで。壁に当たってほしい」と、きちょうめんぶりを捉え「シーズンでも2桁勝てるような要素はある。結果を出してくれれば僕たちはスポットを用意できる」と開幕ローテ入りを歓迎した。
早川は残り2日の今クールで2度目のブルペン入りを巡らせる。この日は124年ぶりとなる2月2日の節分。招きたい福に「田中将大投手のように勝ち運をつけられるようなピッチャー」を願った。最速155キロ左腕のデビューは2月下旬を想定。待ち受ける鬼たちも、織り込み済みだ。【桑原幹久】
▽楽天下妻(早川の球を受け)「145キロくらい出ているんじゃないかなと。体感は速かった。立ち投げで差し込まれました。自分のことを分かっているという印象。僕の方が緊張しました(苦笑い)」
▽楽天則本昂(早川のブルペン投球を岸とともにサブグラウンドから見学し)「そんなに力を入れて投げていないのに、いい球がいっていた。自分で考えながらやれているのですごいと思う」
◆田中将の新人時代の初ブルペン 07年、2月1日のキャンプ初日からブルペン入りし、63球を投げた。前日に高校の試験があり、当日の朝に久米島入り。空港から球場に直行するドタバタのスタートとなったが、捕手の嶋を相手に立たせて10球、座らせて53球の投げ込み。野村監督は「下が弱い」と下半身を使えていないことを指摘も「バランスが良くていい球のときは、バン!と来る。さすが!」と期待を込めた。
◆楽天先発ローテ予想
◎田中将
◎涌井
◎岸
◎則本昂
○早川
▲塩見
△辛島
△滝中
△高田孝
△内間
△高田萌
△石橋
△藤平
△福井
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