取材をすると大阪のコロナ対策のある誤算が見えてきました。
【大阪府・吉村洋文知事】 「今これだけ病床がひっ迫している中で感染が再拡大すれば対応できない状況になってきます。そうなってからでは遅い」 緊急事態宣言の再延長を国に要請した大阪府。 背景には、苦い経験があります。 新型コロナウイルス感染拡大の第3波のピークが過ぎた今年2月時点で、大阪府が確保していた重症病床は、224床。 しかし、その翌月から始まった第4波で初めて確保していた病床を重症患者が上回る事態になったのです。 かつてない医療危機は、なぜ起きたのか。 大阪府のコロナ対策のキーパーソンである健康医療部の藤井部長に話を聞きました。
想定以上に膨らんだ「重症患者」
【大阪府健康医療部・藤井睦子部長】 「400人を上回る重症患者が発生する想定をしていなかったのかと言われれば、それは想定していなかった」
大阪府では、コロナ患者の症状によって受け入れる病院を分ける方針を取りました。 重症の患者を治療するのは、高度な医療に対応する設備がある大学病院など。 中等症の患者は、呼吸器内科などがあるなど、地域の比較的大きな病院。 軽症や無症状で、基礎疾患がない人などは、ホテルや自宅で療養してもらうことにしました。 しかし、重症病床がいっぱいになったことで、影響は全体へと広がっていったのです。 この時に、重症患者を受け入れていた病院は、どうなっていたのか。
第4波は…重症化のスピードが速い
大阪医科薬科大学病院。 人工呼吸器や人工心肺装置・ECMOでの治療が必要な重症患者を受け入れています。 4月、大阪府からの緊急要請を受け、10床から14床に増やしましたが、ベッドは常に埋まり、空けばすぐに別の患者が入ってくる状態でした。 第4波では、これまでとは明らかに違う点がありました。 【大阪医科薬科大学病院・南敏明病院長】 「重症化のスピードが速い。いったん重症化したら1~3波に比べて非常に治るのに時間がかかる」
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