新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、富士北麓(ほくろく)に植林されたマツ科の針葉樹シラビソの香りがついたアルコール除菌スプレーの人気が上昇している。伐採後に山林に捨てられる枝葉が原料で、天然の甘い香りが受け、感染拡大前の2倍の売れ行き。コロナ禍が長引き除菌が日常化する中、カバンに入れて携帯する人が多いという。【山本悟】
スプレーの名称は「シラベ天然除菌剤」。山梨県内ではシラビソは、シラベと呼ばれる。枝葉をアルコールに漬け込んで樹液成分を抽出させ約1カ月で完成する。スギやヒノキのやや刺激のある香りとは異なり、ほんのり甘い芳香が特徴だ。
国内外で環境保全や地域振興の活動に取り組む財団法人・オイスカ(東京都)の山梨県支部と鳴沢村の林業家が、富士北麓で植樹や伐採などを行う富士山の森づくりプロジェクトを展開する中で共同開発した。職人気質の林業家の親方が休憩中に話した「シラベの切り口の香りに癒やされる」の一言がヒントとなったという。2017年に県支部と若手林業家が薬学博士でもあるアロマ専門家から製造方法の指導を受け、3年がかりで完成させた。
県によると、シラビソは標高1000メートル以上の寒冷地に多く、県内では鳴沢村や富士吉田市などの富士山北麓や八ケ岳山麓の北杜市などで1950年代から植林。主にパルプ材や合板材に利用される。除菌剤の材料の枝葉は県から県有林のシラビソ伐採を受託した林業家から購入している。
一般販売に先駆け、県内外の医療関係者向けに21年1~2月に計4000本を寄贈。好評を得て3月に販売を開始すると月に約500本売れ、その後200本程度の売れ行きだったが、感染者が増えた6月は250本、感染急拡大した8月は400本に迫る勢いで販売数が増えている。
「香りをかぐとほっとする」「香りがしつこくない」などと人気。通常の除菌剤はアルコール臭か無臭だが、除菌が日常化したことで「除菌のほかに香りを楽しむ志向の表れではないか」と同支部は見ている。
発売当初からコロナ禍で目立った宣伝はできない状態だが、首都圏での販売拡大を目指しており、県支部の田中美津江事務局長は「ふるさとの自然の香りで癒やされ、元気を取り戻してほしい」と話す。問い合わせは県支部(055・267・5951)。
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