今更だが赤面した。1981年3月に松本隆と大滝詠一の盟友コンビが発表した『君は天然色』。失恋の歌だと思い込んでいたが、とんでもない誤りだった。
松本の詞は、病弱だった26歳の妹を亡くした直後の心象風景。「ショックから渋谷の街が白黒の風景に見えた。目がおかしくなったのかなと思った。壊れかけた状態だった」。NHKの番組『松本隆50年~時代と人をつないだ作詞家』(2021年7月15日)で知った。
『君は天然色』は、肉親が色鮮やかな思い出となってよみがえってほしいという切望と、絶望の淵から立ち直る希望の歌だった。
ヒットしていた大学1年の夏、一発で気に入った。リズミカルな詞と、きらびやかな分厚いサウンドが、長い余韻を残した。「まず思いがあり、思いに続く言葉があり、それにメロディーを乗せる」。松本は詞先(しせん)の曲作りも説いている。
♪想(おも)い出はモノクローム 色を点(つ)けてくれ-。作曲して歌った大滝は、ラブソングを装った深遠な詞を喜んだ。大滝の急逝は8年前の12月30日。大みそかの夜に届いた訃報を朝刊に載せた。3段の活字見出しは小さ過ぎたと反省している。
(整理部次長 長内直己)
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