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Wednesday, December 1, 2021

維斗君に心臓移植を 寄付呼びかけ - 読売新聞

 心臓の難病「拘束型心筋症」を患い、闘病を続けている佐久市の小学4年生、中沢 維斗ゆうと 君(10)の両親らが、米国で心臓移植を受けられるよう募金への協力を呼びかけている。目標額は手術費用や渡航費など2億2700万円。両親は「多額の費用を個人でまかなうのは難しく、皆さんのお力をお借りして命をつなぎたい」と訴えている。

 維斗君は生まれつき大動脈弁 狭窄きょうさく 症という心臓の病気を抱え、生後4日で2度の大きな手術を受けた。5歳の時、人工弁を取り付ける手術をしたが、心不全が悪化。2020年7月、心臓の筋肉が硬くなる拘束型心筋症と診断され、県立こども病院(安曇野市)で入院治療を続けている。

 21年5月に日本臓器移植ネットワークに移植希望登録をしたが、10月末時点の国内の心臓移植希望者は929人(うち19歳以下105人)いる。維斗君の病状が悪化する中、主治医から「日本で待つのは厳しいかもしれない」と言われ、父智春さん(41)と母加代さん(45)は悩んだ末に渡航移植を決断した。

 4人きょうだいの末っ子の維斗君は11月21日に10歳の誕生日を迎えた。以前は病院で仲良くなった子供たちが退院すると「僕も帰りたい」とだだをこねたが、涙を見せつつ手を振って見送るようになった。加代さんは「入院中でも成長を感じさせてくれる息子に感謝しつつも、早く家に帰らせてあげたい。元気に生んであげられなくてごめんねと申し訳ない気持ちになる」と話す。

 コロナ禍で苦しみながら飲食店を経営する智春さんと、2日に1度は病院を見舞うなど献身的に看病する加代さん。2人の思いをかなえようと友人らが「ゆうちゃんを救う会」を結成。11月16日には主治医の武井黄太医師も同席して県庁で記者会見を開き、支援を呼びかけた。

 支援の輪は広がり、300店を超える店が募金箱を設置している。維斗君が通う小学校では児童がペットボトルを使って募金箱約500個を製作。「ゆうちゃん元気になってね」「ゆうちゃん学校にこれますように」などとメッセージを付け、25日に救う会に託した。

 智春さんは「維斗の『維』はつなぐと読む。生まれてすぐ大きな手術をして命をつないだので、そういう意味を込めて名前をつけたが、今回は人と人をつなげてくれている」と話す。

 振込先は、みずほ銀行松本支店(普通・3048385)や、八十二銀行岩村田支店(普通・937164)などで、口座名は「ユウチャンヲスクウカイ」。募金額は救う会のホームページ(https://www.yuu-sukuukai.jp/)で公開しており、30日現在で5226万円が集まっている。

 問い合わせは救う会(0267・27・0645)へ。

 維斗君の心臓からは人工弁の開閉音が聴診器をあてなくても聞こえる。両親とともに心臓移植について考えてきた維斗君が書いた詩には、ドナー家族を思う優しさがあふれている。

つな

      4年中沢維斗

命の大切さを知った

ぼくの体はキカイみたいだ

「カチン、カチン」と

みんなとちがう音が

体からきこえてくる

ぼくは心ぞうという電池を

とりかえないと生きられない

電池をとりかえることは

だれかの命を分けてもらうこと

かなしみのおわりに命を分けてくれた友だちのおとうさん おかあさんにかんしゃしなきゃね

「どこかで生きてほしい」と思って

命を分けてくれたおとうさん おかあさんの気持ちが分かる人にならないとね

元気になってぜったいに

「ありがとう」というかんしゃの気持ちをつなげていこう。

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