●地元に衝撃
小松基地きっての精鋭部隊に何があったのか。31日夕、基地を離陸した直後にレーダーから消えたF15戦闘機は「アグレッサー」と呼ばれる飛行教導群に所属するエリートパイロットが操縦していたとみられる。「10秒ほど火柱が出て、海面から煙が上がった」。加賀市では住民が海上で赤い火柱を目撃。海上では懸命の捜索活動が続き、基地は緊迫感に包まれ、地元小松市に衝撃が走った。
「北朝鮮のミサイルでも落下したのかと思った」
午後5時25分ごろ、加賀市田尻町の大井龍輝さん(34)は小松市の会社から車で帰宅途中、加賀市新保町で海面から火柱が上がるのを目撃した。「右側が急に明るくなった。船にぶつかったり、家に落下していたりしたらと思うとぞっとする」と声を震わせた。
加賀市の男性は同市伊切町の北陸自動車道を走行中、赤い光を見た。「松林越しに赤オレンジ色に海面が光った。タンカーが爆発したのかと思った」と振り返った。
小松基地の正門前には報道陣が詰めかけ、関係者のものとみられる車両が複数入った。
墜落した可能性がある洋上では、基地の救難ヘリ2機、救難捜索機2機が交互に捜索に当たった。乗員2人が見つかるまで捜索を続ける。
アグレッサー部隊は、2016年6月に新田原基地(宮崎県)から小松基地に移転した。基地の隊員は「衝撃的だ。精鋭のパイロットでも対応できない状況だったのか。信じられない」と戸惑いを口にした。
小松市役所では、空港・基地政策課の職員が電話対応や情報収集に追われた。宮橋勝栄市長は詳細な情報が入っていないとし、「まずはパイロットの無事を祈りたい」と話した。その上で「仮に事故であったとするならば、大変遺憾だ。原因究明と再発防止策の説明がなければ訓練再開は考えられない」とした。
小松基地では、1988(昭和63)年に小松市の北北西180キロ沖合で訓練中のF15戦闘機2機が墜落。乗員2人が亡くなった。95年には輪島沖で訓練中のF15戦闘機2機のうち1機から発射されたミサイルがもう1機に命中、乗員は脱出し無事だった。
●「影響が不安」県漁協小松支所
県漁業協同組合小松支所の森田誠運営委員長(74)=小松市安宅町=は救難ヘリが捜索する様子を安宅漁港から望遠鏡で確認し、「1日は刺し網漁などの解禁日なので影響が不安だ。漁業者として手伝えることがあれば積極的に手伝いたい」と語った。
●F15戦闘機墜落の経過(航空幕僚監部発表)
午後5時半ごろ F15戦闘機が要撃戦闘訓練のため、搭乗員2人により小松基地を 離陸。直後、小松管制隊のレーダーから航跡が消失
5時50分以降 航空自衛隊による捜索救難活動
7時10分ごろ 小松救難隊UH―60Jが浮遊物を発見
7時25分ごろ 浮遊物(航空機の外板等の一部)を回収
8時20分ごろ 浮遊物(救命装備品の一部)を回収
8時40分ごろ 回収した浮遊物を、当該機のものと断定
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