新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、首都圏の東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県の知事が緊急事態宣言を出すように政府に要請している。専門家はどう考えるのか。感染症に詳しい濱田篤郎・東京医大教授(渡航医学)に聞いた。
――首都圏での感染拡大が続いています。
北海道や大阪は落ち着き始めているが、首都圏は年末も感染者数が増えた。会食や買い物などの人の動きが止まらなかった。
――なぜですか。
政府が進めた「Go To トラベル」事業は全国的に一時停止されたが、それが「県外に出なければいい」「都内または自らの自治体内ならば動き回ってもいい」というメッセージとして受け止められてしまったのだと思う。これはミスリードだ。
結局、人出は減らなかった。本当は「外出を控えて下さい」という明確なメッセージを発しなければいけなかった。
――政府は、密閉、密集、密接の「3密」を避けることが重要と言っています。外に出るだけならいいのではないですか。
散歩だけならば問題はない。しかし、多くの場合、人は買い物だったり、飲食だったりと目的があって出かける。それをやめてもらうのに「外出を控えて」と言わざるを得ない状況になっている。そのことを伝えるためにも緊急事態宣言が必要だ。
――政府からのメッセージが適切に伝わっていないということでしょうか。
政府は11月下旬、感染を抑えるために「勝負の3週間」と言っていた。それが終わった後、感染状況は収まっていないのに、次に何をすべきかを国民に分かりやすい言葉で発信できていない。
勝負には負けたけれど、次に何…
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