新型コロナウイルスはいまだ収束が見えず、今夏も遠出を控える人は多いだろう。そうした中、地域色あふれる冷たい飲み物で、ちょっとだけ旅の気分を味わってはいかが? 厳しい暑さを乗り切る味を、四回にわたって特集する。(この連載は北海道、東京、中日、西日本各新聞の合同企画です)
炭酸のシュワシュワとした爽快感が喉に広がった瞬間、青臭い香りがスッと鼻に抜けた。香りの正体は、サボテン。痛そうな見た目と違い、味はすっきりだ。
愛知県春日井市の「SABOTEN SUI」は、市内で栽培が盛んなウチワサボテンを使用。カルシウムやマグネシウム、ベータカロテン、食物繊維が豊富だ。「サボテンは野菜と果物の栄養素を併せ持つ珍しい食材。若い女性が好んで飲んでいます」。製造販売を手掛ける市内の食品加工会社「ジェイエヌエス」の出口美紀さん(59)は言う。
市によると、春日井とサボテンの縁は、桃山地区のある農家が果樹栽培の副業として提案した一九五三年ごろにさかのぼる。五九年の伊勢湾台風で果樹園は壊滅状態に。一方で、サボテンは被害が少なかったため栽培の主役になった。
二〇〇六年からは、商工会議所を中心に「春日井サボテンプロジェクト」と銘打ったまちおこしがスタート。十年ほどたって生まれたのが「SABOTEN SUI」だ。炭酸水ならではのキレが、サボテンのとげとげを表している。
原料のサボテンは、出口さんが市内で栽培。発酵させて抽出したエキスを岐阜県関市の飲料メーカー「奥長良川名水」へ送り、長良川上流の天然水と混ぜて完成だ。同社専務の大久保利文さん(53)は「ミネラルバランスが良く、口当たりもいい水なので、主役の邪魔をしないんです」と話す。
市内外の観光施設で販売しているが、コロナ禍の昨年は外出自粛で売上額が減少。そこでインターネット通販を始めたところ、若い世代を中心に客が増え「サボテンといえばメキシコ」と現地の地酒テキーラと割って飲む人も現れた。
「おうち時間が延びて、体に気をつける人が増える中、健康飲料への需要が高まっている」と出口さん。コロナ禍の消費者の心に刺さるサボテンの可能性に、期待は膨らむ。(中日新聞・河郷丈史)
「SABOTEN SUI」は350ミリリットルで1本300円。ジェイエヌエスが運営する店舗「春日井さぼてん ラボ&ショップ こだわり商店」(春日井市)や県営名古屋空港、伊豆シャボテン動物公園(静岡県伊東市)、あしかがフラワーパーク(栃木県足利市)など各地の施設で購入できる。オンラインストア「食べるサボテン 太陽の葉」では、2本セットで600円。(問)ジェイエヌエス=電0568(29)7830
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