2021年08月04日13時36分
新型コロナウイルスの感染が急拡大する地域では今後、肺炎症状がある中等症患者も基本的には自宅療養する運用に切り替わる。病床確保が狙いだが、自宅で容体が急変し亡くなる例もあり、専門家は「強い息切れを感じたら、すぐに医師らに連絡して」と訴える。
自宅療養、容体急変に懸念 「中等症」でもリスク高く―政府、医療崩壊回避へ転換
厚生労働省は、自宅療養で特に注意するべき症状として、唇が紫になる▽少し動くと息苦しい▽呼吸数が増加する▽ぼんやりして、反応が弱い―などを挙げる。療養期間中は1日2回体温を測り、保健所による健康状態の確認に応える必要がある。患者は個室を確保し、トイレも専用のものを使うのが望ましいとされる。
厚労省の診療の手引によると、「中等症」は「I」と「II」に分かれる。Iは呼吸困難(息切れ)の症状が見られ、肺炎の所見がある。IIはさらに深刻で酸素投与が必要な状態だ。新方針では重症者や重症化リスクが高い人が入院対象のため、Iが自宅療養の対象になるとみられる。
けいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師(感染症)は「自宅療養する中等症患者は強い息切れを少しでも感じたら、すぐにかかりつけ医に連絡したり、救急車を呼んだりしてほしい」と強調する。感染力が非常に強いインド由来のデルタ株が急拡大しており、症状が出た際にコロナ陽性と診断されてなくても、同様の対応が必要と話す。
政府の新方針について、聖マリアンナ医科大の国島広之教授(感染症学)は「厳しく適用されれば、一部の中等症患者が入院できずに自宅に取り残され、不安が増大する」と懸念を示す。菅谷医師も「中等症患者はいつ重症化してもおかしくない。国は補助金を積み増すなどして、中等症患者用の病床を積極的に確保するべきだ」と指摘する。
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