コロナ禍で岐阜県内の観光地が軒並み打撃を受ける中、アニメや漫画に登場する舞台を訪れる「聖地巡礼」と呼ばれる観光スタイルに注目が集まっている。「聖地」がある自治体の担当者は、「幅広い世代がターゲットとなる聖地巡礼が、コロナ禍で落ち込んだ観光業の一つの希望となっている」と話す。(乙部修平)
高山市で7月、飛騨地方に言い伝えられる英雄的存在「
市はアニメ制作会社「京都アニメーション」(京都府宇治市)が手掛けた、同市が舞台のアニメ「氷菓」が放映された2012年頃から、観光課内に「アニメツーリズム」担当の職員を配置。アニメとタイアップしたイベントを実施するなどしてきた。担当の下老花梨主事補(23)は「アニメによって高山市を知る人は多い。聖地巡礼はコロナ禍後の観光業において、大きな役割を果たしてくれるはずだ」と話す。
ファンらが「聖地」を登録するインターネットサイト「聖地巡礼マップ」を運営する企業「ディップ」(東京都港区)によると、聖地は21年4月時点で全国に5315か所あり、14年4月時点の2478か所から倍増した。
都道府県別では、アニメ制作会社が集中する東京が全国1位で1810か所。2位は神奈川県(400か所)、3位は京都府(268か所)となっている。岐阜県は160か所で、全国8位。大ヒットアニメ「君の名は。」や「氷菓」で、それぞれのモデルとなった飛騨市の気多若宮神社や、高山市の
飛騨市は、「君の名は。」が公開された16年、舞台となった図書館内を条件付きで撮影できるようにしたり、作中に登場したものの、撤去されていたバス停の標識を再設置したりするなどして、積極的にファンを呼び込んだ。その結果、市の計算では、同年に3万6000人の「聖地巡礼者」が市を訪れ、市内随一の観光スポット「古い町並」を訪れた観光客数も、前年比13%増になったという。
十六総合研究所(岐阜市)の試算では、16年に「君の名は。」など、岐阜を舞台にしたアニメ映画3作品が公開されたことで、聖地巡礼による経済効果は253億円に上ったとしている。
聖地巡礼の人気の高まりを受け、多治見市では、市内の有志や企業らによって、同市を舞台に陶芸に打ち込む女子高生を題材にしたアニメ「やくならマグカップも」が制作され、今年4月からテレビ放映された。
市はこれに合わせ、公用車にこのアニメのラッピングを施したり、観光客が市内を訪れ、作陶体験をする際の割引補助を行ったりした。10月からはアニメの第2期が放映予定で、市産業観光課の担当者は、「(第1期の)放映以降、家族や女性グループ客が作陶体験に訪れることが多くなった。現在はコロナ禍で観光客が減っているが、市の認知度は確実に上がっている」と手応えを感じている。
聖地巡礼が各地で盛んになっている理由について、近畿大の岡本健准教授(観光学)は、インターネットの発達で情報が拡散されやすくなったことや、デジタル技術の進歩で、実際の風景により近い映像を作りやすくなったことを挙げる。
さらに、県内に聖地が多い理由について「文化や環境的な魅力がある」とし、「聖地巡礼では、ファンが初めから、その土地に愛着を持って訪れてくれる。今後、観光業において、より重要な位置を占めるようになるだろう」と述べた。
からの記事と詳細 ( 「呪術廻戦」「君の名は。」「氷菓」…人気アニメの聖地集う岐阜、観光業の希望 - 読売新聞 )
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