9月17日告示、29日投開票の自民党総裁選は、候補者乱立の様相だ。これまでの総裁選と言えば、各派閥や候補者が都内のホテルで「選対本部」を構えて、そこに支持する国会議員が集結。切り崩し、集票に動くというのが定番だった。しかし、コロナ禍になり、状況は一変した。無派閥の衆院議員はこう苦笑する。 「国会もないのに、昨日は深夜まで議員会館にいました。帰るに帰れません。誰が総裁選に勝つのか、誰につけばいいのか、その情報交換でひっきりなしに電話が鳴り、議員が訪ねてくる。夜中に議員宿舎に戻ると、すぐに『帰っているの?部屋に行っていいか』と先輩議員から電話ですよ。寝たのは午前2時くらいでした。結局、まだ誰が勝ちそうなのか、まったくわからない」 休日の4日土曜日も朝7時過ぎから、電話が鳴ったという。 候補者の中でも安倍晋三前首相の支援を得て存在感を示してきたのが、高市氏だ。自民党の閣僚経験者はこういう。 「安倍氏と麻生太郎財務相は菅首相から派閥の支援を求められても個人的には支援するが、派閥は別と言い続けてきた。菅首相が出馬断念となり、安倍氏もフリーハンドとなった。そこで自身の国家観、アベノミクスを信奉する”安倍ガールズ”の高市氏を支援する意思を固めた」 だが、安倍前首相の出身派閥の清和会(細田派)の衆院議員の胸中は複雑だ。 「安倍氏から派閥会長の細田さんら幹部に高市氏の推薦人20人を集める協力をしてほしいと要請があったそうです。清和会の国会議員は96人ですから、安倍氏の天の声で推薦人確保は安泰です」 しかし、無派閥の高市氏を清和会上げて応援するのかといえば、そうはならないという。
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