【ブリュッセル=根本涼】岸田文雄首相は24日、訪問先のブリュッセルで主要7カ国(G7)の首脳会議に出席した。ウクライナに侵攻するロシアへの追加の経済制裁を表明した。世界貿易機関(WTO)協定に基づく最恵国待遇を取り消すために必要な法改正案を今国会に提出する意向を示した。
ロシアからの輸入品に高関税をかける。首相はG7で連携して制裁の抜け穴を埋めながら、ロシアへの外交的・経済的な圧力を一層強めるよう主張した。
プーチン大統領を支えるオリガルヒ(新興財閥)やその家族を巡って資産凍結の対象を拡大する。首相はロシアの81の軍事関連団体への輸出禁止や宝飾品などのぜいたく品の輸出規制にも言及した。
デジタル資産を使って制裁を避ける動きを防ぐための法改正を迅速に進めると訴えた。ロシアで「暗号資産(仮想通貨)」の利用が急増しているとの指摘がある。資金決済や蓄財の手段になれば、制裁の効果が限られる。
被爆地・広島を地元とする首相として核兵器による威嚇や使用は許されないと強調した。生物・化学兵器も含めて使用禁止を働きかけた。
これに先立ち、首相は欧州連合(EU)のミシェル大統領やフォンデアライエン欧州委員長とそれぞれ会談した。ミシェル氏らとウクライナ侵攻への対応で緊密に連携すると確認した。「ウクライナ侵略は欧州にとどまらず国際秩序全体の根幹を揺るがす深刻な事態だ」との認識を共有した。
ウクライナ侵攻を続けるロシアにG7で結束して対処する姿勢を示すため、滞在半日未満の強行日程で訪欧した。
G7は定例の首脳会議を年に1回開催する。日本の外務省によるとG7の首脳が機動的にオンライン形式で協議することはあるが、緊急に対面で集まるのは異例だという。
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