24日に投開票された参院石川選挙区補欠選挙は、夏の参院選の帰趨を占う前哨戦と位置づけられたため、与野党は党首をはじめ幹部を現地に投入してテコ入れするなど、支持拡大に注力した。
自民党は、保守王国とも称される石川県下に根付いた強固な支持基盤を生かし、有利に戦いを進めた。 それだけに岸田文雄政権の安定を左右する夏の参院選に弾みを付ける上では、勝利だけでは不十分で、他の候補を圧倒する「立派な成績」(参院幹部)での当選が必要だった。
茂木敏充幹事長は24日夜、宮本周司氏の当選が確実になったことを受けて党本部で記者団の取材に応じ、「与党も野党も負けられない思いで臨んだ選挙に勝利できたことは大きい」と強調し、「この勢いを夏の参院選にしっかりつなげたい」と語った。
今回の補選は、昨年10月の衆院選と保守が分裂した知事選(3月13日投開票)が続いた後、夏の参院選が迫るタイミングで実施されたこともあって、自民にとっては地方組織や支持団体の「選挙疲れ」がネックとなった。このため、首相が今月17日に石川入りして街頭演説したほか、茂木氏や世耕弘成参院幹事長ら幹部も応援に駆け付け、引き締めを図った。
一方、立憲民主党は泉健太代表の就任後初の国政選挙で敗れたことで、泉氏を「選挙の顔」として不安視する声が党内に広がりそうだ。今回は自民議員の辞職に伴う補選のため、立民は議席を減らすわけではなく、24日夜、「今後この地域におけるわが党の党勢拡大に向けた布石となる」(大西健介選対委員長)との談話を発表したが、参院選へ重い宿題を抱えることになった。(原川貴郎)
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