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Saturday, April 9, 2022

ふうわりと立ち上るもう一つの世界の香り 喜びが詩の入り口に - 朝日新聞デジタル

言葉季評 歌人 穂村弘さん

 先日、買い物から帰ってきた妻がこんなことを教えてくれた。

 「駅ビルの蜂蜜専門店で、友だちへの贈り物を買ったんだけど、店員さんがすごく親切だったよ」

 「よかったね」

 「しかもね、名札を見たら『赤熊』さんだったの!」

ほむら・ひろし 1962年生まれ。歌人。著書に歌集「シンジケート[新装版]」、エッセー「鳥肌が」、評論「短歌の友人」など。

 にこにこしている。「赤熊」さんに贈り物の蜂蜜を選んでもらったのが、うれしかったらしい。蜂蜜好きな本物の熊のイメージが重なるからだろう。面白いなあ。

 でも、その気持ちはわかる。私も以前、たまたまテレビで見かけた宇宙飛行士の名字が「星出」さんだった時、なんてぴったりなんだ、と思ったことがある。

 「赤熊」さんも「星出」さん…

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