ウクレレ製造最大手の三ツ葉楽器(前橋市上大島町)は、県産木材のヒノキとスギ、ヤマザクラを使ったウクレレを発売した。外国産の木材が入手しづらくなる中、初めて県産木材を使用。音色だけでなく、木目や香りもそれぞれ特徴がある自慢の逸品をアピールしている。(池田知之)
同社は一九四八(昭和二十三)年創業の老舗。五五年から製造するウクレレは「フェイマス」「ゼファー」のブランドで知られる。
同社のウクレレは、カメルーン産のマホガニーや米ハワイ産のハワイアンコアなどを使っている。しかし、近年の米中貿易摩擦や木材不足などの影響を受けて入手が難しくなり、大沢茂社長(73)は「将来的にも、外国産の木材調達はさらに大変になる」とみていた。
一方で、県は県産木材の需要拡大を模索。昨秋、同社は県から県産材利用の打診を受けて、供給が安定している三種類の木材で製造を決めた。従来のマホガニーやコアと比べて曲げにくいため、加工は難しかったが、五月、製品化にこぎ着けた。
木材は従来の製品と同様、群馬名物の「からっ風」で自然乾燥させた。木の素材を生かしたラッカー仕上げのウクレレから出るのは、ヒノキは「大きい音量」、ヤマザクラは「味わいがある音」、スギは「キレのある音」という。弦を巻くための金属部品「ペグ」には「GOTOH」のブランドで世界的に著名な後藤ガット(伊勢崎市宮子町)の製品を使った。
大沢社長は「念願の県産材を使ったウクレレ。音や香りで癒やされてほしい」と話している。希望小売価格はヒノキが十万四千五百円、スギとヤマザクラが各九万三千五百円。受注生産だが、県内の大手楽器店の店頭にも近く並ぶ見込み。
前橋市はふるさと納税の返礼品にしている。
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