海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。
河北せり
香り高さと、みずみずしいシャキシャキした食感。可食部は他地域産より太く、長い。石巻市飯野川地区で栽培される「河北せり」は約300年の歴史を持つと言われる。
JAいしのまきセリ部会の高橋正夫会長(75)=石巻市相野谷=は「冷たく栄養分の多い地下水を引いて育てるためか、歯切れがいい」と言う。鮮度を保つため専用の段ボールにセリを立てて入れ、県内を中心に出荷している。
河北せりは10月~翌年2月に出荷する「根セリ」と4、5月に茎や葉を刈り取って収穫する「葉セリ」がある。根セリは鍋や雑煮の材料だけでなく、根を天ぷら、葉をかき揚げにして食す。やわらかく香りの良い葉セリは浅漬けやおひたしにするのがお勧めという。
2020年に地域に根差した農林水産物や食品をブランドとして守る地理的表示(GI)保護制度に登録された。高橋会長は「おいしさ、食文化を伝統として残したい」と意気込む。
根の天ぷらを味わえると聞き、石巻市あけぼの3丁目の「海彦山彦あけぼの店」に向かった。食感を生かすため塩で提供する。サクサクした衣と、根のほのかな甘みが味わえる。鍋は具材が河北せりと鶏肉のみとシンプル。しょうゆベースのだしは素材を生かすためあっさりした味付けだ。
店を展開する大森林グループの中谷卓巨(たくみ)統括マネージャー(42)は「鍋にはセリの追加も受け付けていて注文もよく入る。香りや食感、根っこの甘さを楽しんでほしい」と述べた。
(藤本久子)
<メモ>
宮城県のセリ生産量は全国1位で、石巻地区は県内2位の生産量を誇る。河北せりの生産者は20人。膝元程度まで水が張られたセリ田に入り、手作業で収穫する。葉セリは地元の在来品種「飯野川在来」のみ。
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