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Sunday, January 15, 2023

「匂い」によって感情的な記憶がよみがえるのはなぜ?専門家が解説 - COSMOPOLITAN(コスモポリタン)

人間の他のどの感覚よりも記憶と直結していると言われる「嗅覚」。匂いと脳の関係を専門家が解説!2010年に発表された論文によると、匂いや香りによる記憶は、視覚や聴覚などの感覚的な刺激によるものよりも「より感情的」で、喚起力の強いものであることが明らかに。

Anastasiia KrivenokGetty Images

公園を歩き、草や木の香りをだけで、子どもの頃に自然の中で遊んだ記憶がよみがえったり、特定の料理の匂いが漂ってくると「昔、おばあちゃんがよく作ってくれたな」と思い出したり。

嗅覚は、人間の他のどの感覚よりも記憶と直結しており、経験や場所、過去の思い出に連れ戻してくれる不思議な力を持っているのだそう。

2010年に発表された論文によると、匂いや香りによる記憶は、視覚や聴覚などの感覚的な刺激によるものよりも「より感情的」で、喚起力の強いものであることが明らかになっているのだとか。

そこで本記事では、「匂いや香りの記憶や感情を呼び起こす力」について、専門家の解説に基づいた記事を<プリベンション>からご紹介。

なぜ「匂い」が記憶や感情を呼び覚ますの?

脳科学者の間では、「匂いには感情的な記憶を呼び起こすユニークな能力があり、これは脳の解剖学的構造に起因するところが大きい」という見解が一般的。わかりやすく言えば、匂いを処理する脳の領域と、感情や記憶を処理する脳の領域は、同じ構造の中で絡み合っているということ。

The Scent of Desire(欲求の香り/原題訳)』の著者であり、嗅覚の心理学の第一人者である認知神経科学者のレイチェル・ヘルツ博士は「実は、感情や記憶、連想をつかさどる扁桃体・海馬複合体と呼ばれる部分は、嗅覚の一次皮質(一次嗅皮質)でもあります」と説明。

「嗅覚は感情、記憶、連想とユニークで親密、そして直接的なつながりがあるため、瞬時に感情を呼び起こし、感情や思考を喚起する能力があるのです」

また、モネル化学感覚センターの実験心理学者であるパメラ・ダルトン博士も「嗅覚システム(匂いの感覚の基礎となるもの)は、他のどの感覚よりも直接的に感情や情動記憶をつかさどる脳のシステムとつながっています」と解説。

他のすべての感覚情報(見る、聞く、味わう、触るなど)は、視床(脳の感覚のスイッチボード)で処理された後、脳の関連領域に伝達されるもの。しかし、匂いの情報は脳にある感情と記憶の中枢である扁桃体と海馬に、直接伝達されるという違いがあるのだとか。

なぜ、昔の思い出を呼び起こすの?

「嗅いだことのある匂いでなければ、記憶を呼び起こすことはありません」と、ヘルツ博士は説明。

「個人的な経験が特定の匂いと繋がり、その匂いに対する特定の感情や記憶引き出すのです」
「初めてその匂いを嗅いだとき、その匂いとその(匂いの持つ)意味、(今経験している)出来事との間に強い結びつきが生まれる可能性があります。また多くの物事は子ども時代に初めて経験するため、匂いによって喚起される記憶の多くは、子ども時代に関連したものなのになりがちなのです」

もちろん、「香りが呼び起こす記憶」のすべてが、幼少期と関連しているわけではありません。香水やコロンのように、ある程度成長してから初めて出会う匂いも、同じように記憶がリンクするのだとか。

一方で、ダルトン博士によれば、一度構築された匂いと経験の関係を刷新するのは難しいという問題も。

「一度構築された匂いの記憶が消滅したり、新しい記憶と関連付けられたりすることはあまりありません。多くの感情的な記憶が子どもの頃に集中しているのはそのためでしょう」
toddler girl smelling flowers in garden

Laura OlivasGetty Images

匂いがもたらす、驚異的な「感情への影響」

興味深いことに、明確な記憶と関連づけられていない匂いであっても、強い感情を引き起こす力があるのだそう。つまり、匂いから「感覚のみ」を呼び起こされることも可能なのだとか。

ヘルツ博士は、そのプロセスについて次のように解説します。

「過去の重要な出来事と結びついた匂いに出会うと、まず感情を刺激し、次に脳に蓄積された情報から記憶を拾い上げて認知します。このプロセスは、瞬時に起こることが多いです。しかし、まったく起こらないこともありますし、脳の中で何度も記憶を検索した後に、感情への刺激が起こることもあります」

また、「感情 → 認知」の順番で記憶につながる感覚は嗅覚だけなのだそう。

「嗅覚以外の感覚は“トップダウン方式”で伝達され、刺激を認知した後に感情が追いかける、という順番です。この2つがどんなに瞬時に行われたとしても、感情が先になることはありません」

また、匂いはメンタルヘルスに影響を与えるもの。「嗅覚は、感情と健康をつなげてくれるものです」と語るのは、ダルトン博士。

「穏やかな感情と関連づけられた匂い(香り)を嗅ぐとリラックスできると自分に言い聞かせ、信じさせることも可能です。この思考回路が確立していれば、緊張した状況でもその匂いを嗅ぐだけで、ストレスを軽減する効果を発揮します」

次に「この匂い(香り)、好きかも」と思えるフレグランスに出会ったら、過去の幸せな思い出と重ね合わせたり、リラックスしている自分を想像してみるといいかも?

※この翻訳は、抄訳です。
Translation: 宮田華子
PREVENENTION

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