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Saturday, May 16, 2020

ワオキツネザルは「フローラルな甘い香り」で異性を誘惑することが判明 - GIGAZINE


動物は異性へのアピールにさまざまな手段を用いることが知られており、クジャクのオスは大きく鮮やかな飾り羽を広げてメスを誘い、ホタルは尾部の光でメスに求愛を行います。東京大学や京都大学、北海道大学などの研究チームが、新たにマダガスカル島に生息するワオキツネザルのオスが、「フローラルな香り」を分泌してメスにアピールしていることを発見しました。

Key Male Glandular Odorants Attracting Female Ring-Tailed Lemurs - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0960982220304073

Odor experts uncover the smelly chemistry of lemur love | The University of Tokyo
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/en/press/z0508_00096.html

Male lemurs 'stink flirt' using fruity, floral love potion | Live Science
https://www.livescience.com/lemurs-stink-flirt.html


ワオキツネザルは手首に皮脂腺が存在しており、皮脂腺からの分泌物を使って匂い付け(マーキング)をすることが知られています。ヒトをはじめとする霊長類では嗅覚がそれほど鋭くありませんが、ワオキツネザルは特徴的な嗅覚コミュニケーション行動を取ることが知られています。

以下の画像がワオキツネザルの手首にある皮脂腺であり、透明な分泌物が出ていることがわかります。

by Satomi Ito, Kyoto University

ワオキツネザルのオスは手首から出た分泌物を尻尾にこすりつけて……


尻尾を相手の近くで大きく振る、テールウェービングと呼ばれる行動をします。


この行動は敵対するオスに対しても行われますが、発情しているメスに対しても行われるとのこと。


また、研究チームは繁殖期にオスが分泌物でマーキングした箇所の匂いをメスが嗅ぐ行動も確認していましたが、この行動は非繁殖期にはほとんど見られませんでした。そこで、研究チームは分泌物に含まれる匂い物質が、メスを引き寄せる一種のフェロモンとして機能していると考えました。


研究チームは3頭のワオキツネザルから、4年にわたって繁殖期と非繁殖期にそれぞれ手首の分泌物を収集しました。実際に人間の鼻でこれらの分泌物を嗅いでみたところ、非繁殖期の分泌物は「苦い」「革のような」「青っぽい」匂いがしたとのこと。ところが、繁殖期に収集された分泌物からは、「よりフルーティで、フローラルな甘い香り」がしたそうです。この香りの変化により、オスが交尾の準備を整えたことをメスに知らせることができると研究チームは考えました。

実際に研究チームがワオキツネザルの繁殖期・非繁殖期の分泌物をコットンに染みこませ、メスの前に提示したところ、繁殖期に分泌されたコットンに強く反応して匂いを嗅ぐこともわかりました。「繁殖期以外の分泌物には、メスは特別な関心を示しませんでした」と、研究チームの白須未香氏は述べています。

オスのワオキツネザルが分泌する液体の化学成分をガスクロマトグラフィー質量分析法で調査したところ、繁殖期の分泌物は非繁殖期の分泌物と比較して、ドデカナール12-メチルトリデカナールテトラデカナールという3種類の長鎖アルデヒド化合物が有意に増加し、アセトアミドという有機化合物が減少していることがわかりました。

繁殖期に増加していた3種の匂い物質はフローラル・フルーティー様の香りを有しているため、これらの物質が繁殖期の匂いフェロモンとして機能している可能性が高いとのこと。なお、それぞれの臭気化合物を個別にメスに提示したところ、メスは大きな関心を示しませんでしたが、3種の物質をブレンドして提示すると、メスはより強い関心を持ったそうです。

by Caitlin E. Devor, University of Tokyo

また、研究チームはオスの体内における男性ホルモンの一種、テストステロンの量が変動することで、分泌物に含まれる匂い物質の量を変化させるのではないかと考えました。ワオキツネザルのオスは繁殖期になるとテストステロンレベルが上昇することから、非繁殖期の若いオスのテストステロンレベルを上昇させて疑似的に繁殖期状態にしたところ、フローラルでフルーティな匂い物質の含有量が繁殖期と同じレベルまで増加したとのこと。

研究チームの東原和成教授は、「動物のコミュニケーションに関する研究のほとんどは生態学者によって行われていますが、私たちの研究では化学の専門的技術を有している点が違います」とコメントしています。

なお、オスの分泌物に含まれる匂い物質がメスを誘引することがわかったとはいえ、必ずしも匂いへの好奇心が性的魅力を意味するのではないそうです。「メスがより長く香りに興味を持つことがオスの交尾の成功を意味するかどうかは、まだはっきりと言えません」と、東原教授は述べました。

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