海辺を歩くとぷんと漂ってくる「磯の香り」。海に特有のこの香りが、なぜか海から数千キロと遠く離れた湖でも漂っているという――。
熊本大の戸田敬教授(分析化学)は十数年前、工場からの排煙について調べるため訪れたロシアのバイカル湖で、こんなうわさを現地の人から聞いた。
「春になると、湖から磯の香りが漂うことがある」
バイカル湖は、貯水量では世界最大の淡水湖。塩水ではないのに、なぜだろう。実際に調べてみることにした。
海の磯の香りの主成分は、硫化ジメチルという物質だ。海では、植物プランクトンがこの物質のもとになるDMSPという物質を作っている。
プランクトンはDMSPを体内に蓄えることで、塩水の中でも水を失って縮んでしまわないようにしているといわれている。
では、湖ではどうなのか。チームは2012年から3~4月に8回にわたりバイカル湖を訪れ、植物プランクトンの繁殖の様子や、DMSPやそれに関わる物質の分析を続けた。
すると、植物プランクトンの…
※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
からの記事と詳細 ( 湖なのに「海の香り」? うわさから解き明かした極寒の生物の生存策:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル )
https://ift.tt/hKZkTPz
No comments:
Post a Comment