加賀市の山代、片山津、山中の3温泉地で4日、無病息災を祈願する「菖蒲湯(しょうぶゆ)まつり」が開幕した。山代温泉では青年会員ら約110人がみこしを引き回し、ショウブを詰めた俵を古総湯に投げ入れて邪気を払う入湯式が営まれ、湯の街は爽やかな香りと熱気に包まれた。
真言宗薬王院温泉寺で加持祈祷(かじきとう)が営まれた後、山伏と高張提灯(ちょうちん)の先導で6個の俵を積み上げた菖蒲みこしが出発した。道中では何度もみこしを倒して俵を地面にすりつけた。
「わっしょい、わっしょい」の掛け声に合わせて湯の曲輪(がわ)の周りを引き回した一行は俵を抱えて古総湯になだれ込み、湯船にショウブをまくと、盛り上がりは最高潮に達した。
日中は地元の保育園「やくおうえん」園児や山代中生徒が演奏を披露し、各商店街による「商店みこし」も町を練り歩いた。
最終日の5日は山代小児童らによる輪踊りや菖蒲みこしを模した「代(しろ)っ子みこし」の巡行、山代音頭の道流しが繰り広げられる。
●片山津、山中でも祈願
片山津温泉では真言宗愛染寺で法要が営まれ、砂走公園あいあい広場ではショウブの束で肩をたたく「菖蒲たたき」が行われた。会場にはキッチンカーが並び、住民でにぎわった。
山中温泉の長谷部神社では春季例祭「菖蒲湯祭」が営まれ、旅館経営者ら約30人が無病息災や温泉街の繁栄を願った。神事後、山下裕嗣宮司は各旅館を回りショウブを手渡した。3温泉の総湯でも湯船にショウブを浮かべた。
●2次避難所にもお届け 有志の会
加賀市の住民でつくる「R6能登半島地震支援有志の会」は4日、菖蒲湯まつりに合わせ、市内3宿泊施設に2次避難している被災者に、山代青年会から提供を受けたショウブを届け、無病息災を願った。
代表の池田育枝さん(56)ら4人が中島町のホテル「ダイヤモンド片山津温泉ソサエティ」62人、片山津温泉の旅館「湯快わんわんリゾート片山津」58人、柴山町のホテルアローレ70人に届けた。
各施設では茎の部分をネットに入れ、大浴場で菖蒲湯として楽しむほか、葉の部分を被災者に分け、枕や布団の下に敷いたり、頭に巻いたりして邪気を払う。
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