【AFP=時事】フランス人のミカエル・モワセフ(Michael Moisseeff)氏は、宇宙服を着たこともなければ、宇宙船で飛行した経験もない。しかし、そうしたことが地球の外の世界を想像し「再現」する上で妨げになることはないという。
モワセフ氏は、地球上にあるさまざまなにおいを調べ、再現する取り組みを長年続けてきた66歳の「香りの彫刻家」だ。彼が次の目標として設定したのは、地球の衛星、月のにおいを捉えることだという。
熟練した遺伝学者のモワセフ氏は自身の実験室で、においの謎を分析し、ありとあらゆる種類のにおいや芳香、分子からの発散物などを作り出すというライフワークに取り組んでいる。
「例えば、森の下草のにおいを再現したいのであれば、まずその場所に行く必要がある」と、モワセフ氏は説明する。
「そこにコケや地衣類は生えているのか、湿気はあるのかと一つ一つ丁寧に調べ、においのリストを作って要素をまとめる。画家がパレットに色を置くのと同じだ。そして、各要素の測定を行い、できる限り詳細に再現を試みる」
残念なことに、月は下草のある森ほど簡単に行ける場所ではない。仏トゥールーズ(Toulouse)にある宇宙のテーマパーク「シテ・ド・レスパス(Cite de l'Espace)」は「月旅行の費用を出したがらなかった」と、モワセフ氏は冗談を言った。
モワセフ氏の重要な研究道具である自分の嗅覚の中に月のにおいのイメージを構築する唯一の方法は、月面を歩いたさまざまな宇宙飛行士、特に1969年に初めてそれを成し遂げた米宇宙飛行士ニール・アームストロング(Neil Armstrong)氏が残した記述を読み込むことだった。
「月面には酸素がないため、彼(アームストロング氏)が何のにおいもかげなかったのは明らかだが、着陸船の中に戻った時に、宇宙服に付着している塵(ちり)のにおいが、古い6連発拳銃の焦げた黒色火薬を思い起こさせたようだ」と、モワセフ氏は話した。
■現代の錬金術師?
このにおいを再現するため、モワセフ氏は片手鍋の中で黒色火薬に着火してみることにした。そして何度か失敗を繰り返した後、ついに火薬の焦げたにおいを「捉える」ことに成功した。
現代の錬金術師ともいえるモワセフ氏は、探し求めているにおいの種類を突き止めると、そのにおいを作り出すのに適切な香調(香りのタイプ)を見つける作業に取りかかった。
すると、金属のような香調と炭素と硫黄の香調とが混ざり合い、鼻孔と想像がくすぐられた。
■「個人の感覚」
人間には約260種類のにおいセンサー(嗅覚受容体)があると言われている。このセンサーは、鼻腔の上部にある嗅覚器の嗅粘膜(きゅうねんまく)に位置している。
「嗅粘膜にあるセンサーに分子が到達すると、体内で感覚を引き起こす信号が生成され、においが発生する」と、モワセフ氏は説明する。
「この感覚は完全に個人的なもので、各個人の遺伝的特徴と経験によって決まる」
モワセフ氏は次の挑戦で、ルネサンス(Renaissance)期のにおいに挑む。イタリアの芸術家レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)の絵画でモデルとなったモナリザ(Mona Lisa)本人、もしくは彼女の周囲のにおいの再現を試みるのだという。
この取り組みには「きめ細かな調査と史実研究」が必要になると、モワセフ氏は興奮気味に語っている。
【翻訳編集】AFPBB News
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August 28, 2020 at 06:00AM
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