日記をつけ始めて三十余年、家計簿をつけ始めてからも二十余年。自他共に認める記録魔の筆者、記帳している限りおよそ「トイレットペーパー」という品ものにおいては、「底値」以上のものを買うことがほとんどない慎ましい暮らしをしてきた。巻きもシングル一択である。
かつて実家にいた頃はおそらく親側の(なんらかの)事情で、もう少し柔らかな紙質だったように記憶している。しかし、独立して自らの経済を取り回すに際して、筆者は自らを甘やかさないことに決めたのである……。
そこには一度上げた生活レベルを後から落とすのは容易ではないだろう、という厳しい予感もないわけではなかった。灰色の就職超氷河期世代でもある筆者はまあまあストイックな経済観念を持って生きて来た自負があるが、その自律の一丁目一番地にそんな「トイレットペーパーのレベル」があった気がしている。
そんな筆者が、一昨年ひょっこり出会ってしまったのが、四国特紙の「白檀の香り」という超高級感あふれるトイレットペーパーだった。ふだん行かないエリアのドラッグストアで、妙に高貴な香りが漂っているのに吸い寄せられたらトイレットペーパー売り場だった。びっくりした。
ただのトイレットペーパーだと考えるとそれは非常に高額だった。たった4ロール入りで300円以上もした。だが、アロマグッズの一種だと思えばだいぶん安い気がした。そこで日用品ではなく自分の「おこづかい」の範疇で筆者はそれを1パック買って帰った。
育ち盛り……でトイレ頻度も高い子どもたちとの暮らしでは、「ダブル(2枚重ね)4ロール」のそれは、文字通り“秒”で使い切ってしまった。しかし、そのわずかな時間ではあったものの、トイレでのえも言われぬ満足感、高級な紙の感触、高貴な香りは、筆者の心を妙に潤したのだ。
その後も、年に2回ほどの贅沢として「白檀の香り」を愉しむことを繰り返した。筆者にとって日用品ではなく、このトイレットペーパー利用は「娯楽」の一種だった。
つい先日のことだ。別のドラッグストアで、「藤の香り」という、あの白檀のお仲間を発見した。「おおっ!」と思い即断で購入してしまった。藤原だけに、藤に弱い。
しかも、まあ、なんと雅で美しいパッケージだろう。……これって手土産にも最適な……気がする。香りもとても芳しく上品でよろしい。
コロナ禍で、なにかとクサクサするご時世ではある。しかしおこづかいの範疇で、こんなにいいものを買うことができる人生って、控えめに言ってすばらしい、かもしれない。
そんなふうに思うのである。
からの記事と詳細 ( 4ロールで300円以上!? 藤の香りの高級トイレットペーパーで心潤う - 家電 Watch )
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