停滞する前線の影響で九州北部で記録的な大雨が続いていることを受け、気象庁は14日午前、福岡、佐賀、長崎の3県に大雨特別警報を発表した。3県では大雨を降らせる「線状降水帯」も確認されており、同庁は災害から身の安全を確保するよう最大級の警戒を強く求めている。佐賀県では武雄市などを流れる1級河川・六角川が氾濫し、福岡県久留米市では宅地の水が排水できなくなる「内水氾濫」が起きて、いずれも浸水被害が広がった。
気象庁によると、前線は向こう1週間、本州付近に停滞する見込み。同庁は14日朝に開いた緊急記者会見で、「西日本から東日本ではところによっては大雨特別警報を出す可能性がある」との見方を示し、注意を呼びかけた。
14日午前の1時間降水量は佐賀県嬉野市80.5ミリ▽久留米市72.0ミリ▽佐賀県大町町67.0ミリ▽長崎県西海市62.5ミリ▽福岡県柳川市60.0ミリなどとなっている。3県の一部自治体は、大雨・洪水警戒レベル（5段階）で最も高い「緊急安全確保」を出した。
48時間に降った雨の量は午前8時現在、嬉野市718.5ミリ▽長崎市579.0ミリ▽久留米市569.5ミリ▽広島県北広島町310.5ミリ▽石川県宝達志水町274.5ミリ▽富山県氷見市264.0ミリ▽岐阜県中津川市248.0ミリ――となり、いずれも観測史上最多を更新した。多い所では、平年の8月1カ月分の2倍を超える雨量となっている。
各地で浸水被害が相次ぎ、久留米市では1級河川・筑後川支流の4河川の周囲で内水氾濫が発生。消防には「道路が冠水して逃げられない」との通報が多数寄せられ、隊員らがボートで救助を続けた。長崎県雲仙市で住宅2棟が押し流され、50代の女性1人が死亡、60代の夫と30代の長女の行方が分からなくなっている土砂崩れ現場では、14日午前7時半過ぎ、警察や消防、自衛隊など約200人態勢で捜索が再開された。
15日午前6時までの24時間予想雨量は、いずれも多い場所で東海地方300ミリ、九州、四国、近畿、関東甲信地方250ミリ、中国地方200ミリ、北陸地方180ミリ、東北地方100ミリ。その後の24時間は、九州、近畿地方100～200ミリ、四国、東海、関東甲信地方100～150ミリ、中国、北陸、東北地方50～100ミリとなっている。【井口慎太郎、遠藤大志、竹林静、中里顕、中山敦貴】
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