和食はなぜヘルシーなのか。この問いを突き詰めていくと、だしに行き当たる。そして、だしを飲むと痩せる、あるいは「ホッとする」メカニズムは、実験によってすでに解明されているというのだ。龍谷大学農学部の山崎英恵教授による「教養としてのだし」講義。 【写真3枚】この記事の写真を見る ***
私が「本物のだしを味わうことは教養である」と言うのは、ワインを例にとると分かりやすいかもしれません。ワインには高いものから安いもの、良いものから普通のものまで、さまざまありますが、それらの味を知っておくことにより、味わいの経験が深まります。教養というのはなくても生きていけますが、あると人生をより豊かにしてくれると思うのです。 〈「だし研究」に携わってきた山崎教授は、2008年から6年間にわたり、「本物のダシを味わうことは教養である」という食育プログラムを京都大学で実施してきた。〉 その講義では、だしって何だろうということをまず説明します。例えば、かつお節づくりは、水揚げしたかつおをさばいて煮熟(しゃじゅく)する(湯がく)ところから始まります。その後、いぶしながら乾燥させ、燻製にします。そこで完成するのが「荒節」です。これは1カ月もかからずに出来上がります。血合いが残っていることもあり、かなりガツンとかつおの香りがします。その荒節にカビ付けをして、水分を抜き、タンパク質や脂肪を分解させて、よりまろやかな味になるように仕上げるのが「枯節」です。京料理で使われるだしはほとんど枯節です。
うま味の発見
〈古代日本で757年に施行された「養老律令」では、かつお節の前身と考えられている「堅魚」「煮堅魚」が重要貢納品の一つとしてあげられている。また、797年に奏上された「続日本紀」には、蝦夷の須賀君古麻比留(すがのぎみこまひる)が昆布を朝廷に貢献したとの記述がある。かつお節や昆布が日本の歴史と共にあったことが分かるが、それらが「だし文化」として結実したのは、1467年から1477年まで続いた「応仁の乱」以後だとされ、江戸時代に入ってから大いに発展した。 幼少期より昆布のだしに興味を持っていた東京帝国大学の池田菊苗教授が昆布から「グルタミン酸ナトリウム」を抽出することに成功し、それを「うま味」と名付けたのは1908年。その発見が元となって開発された「味の素」は今も我々にとって身近な存在だが、「うま味」が世界で受け入れられるのは、それから90年も後である。甘味、酸味、塩味、苦味に次ぐ第5の味として「UMAMI」が認められたことをニューヨークタイムズ紙が報じたのは1998年だ。そして2013年、ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」の根幹を成すのはもちろん、だしである。〉
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