仏教的な意味を守りつつ、線香による火災をなくそうと、五條市の生蓮寺住職、高畑公紀さん(44)が、線香の香りがするスプレーを自ら開発し、販売している。仏教のシンボルであるハスのエキスや、線香の原料となる
商品名は「火事ナイ線香スプレー」。今年2月に
「線香の香りは仏様の食事であり、空間を神聖に保つ意味がある」。一方で、線香などが原因の火災は少しでも減らしたい。「線香本来の役割に火や煙は必要ない」と、香りのスプレーにすることを思い立った。
高畑さんはかつて、京大大学院生命科学研究科で植物の細胞を研究し、香りや薬用成分に関する知識もある。現在も境内で育つハスを研究対象にしており、スプレーの開発にも自分で取り組むことにした。
寺の名に冠するハスは名物で、多く植えられているため、ハスを成分とすることにこだわった。普段は使わない寺の台所で、乾燥させたハスの葉を細かく刻み、水蒸気を当てた後、冷やしてエキスを取り出した。
さらに、上品な香りで線香に使われる白檀の精油などを配合。配合の調整を繰り返し、約2か月間かけて完成させた。「初めはいい香りだと思っても、何度もかいで気分が悪くなったことも」と笑う。容器への注入も、専用の機械を使って自ら行っているという。
9月の発売から売れ行きは順調に伸び、11月は57本を販売。「こんなに売れるとは思っていなかった」と驚きを隠せない。ただ購入者と届け先が異なるケースが目立つといい、「実家にいる高齢の親に使ってほしいと買う人が多いのでは」とみている。
高畑さんは「朝のお出かけ前に仏壇で手を合わせる時などにも使ってほしい」と期待。「『線香を立てないと気分が出ない』との声もあるので、今後はLED線香と組み合わせた商品も開発したい」と意気込む。
スプレーは大小2種類で、いずれも税込みで10ミリ・リットル入り550円、30ミリ・リットル入り1100円。生蓮寺ホームページで購入できる。問い合わせは同寺(0747・22・2218)へ。
からの記事と詳細 ( 火を使わず 線香の香り - 読売新聞 )
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