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Tuesday, April 19, 2022

甘い香りの大輪のボタン 松阪の朝田寺庭園で30種500株見頃:中日新聞Web - 中日新聞

唐獅子図の1枚を解説する榎本住職=松阪市の朝田寺で

唐獅子図の1枚を解説する榎本住職=松阪市の朝田寺で

 松阪市朝田町の朝田寺の庭園でボタンが見頃を迎えた。赤や白、ピンク色などの三十種、五百株が咲き乱れ、甘い香りと大輪の花が訪れる人の心を癒やしている。寺は見頃に合わせて、二十日から江戸時代の画家、曽我蕭白(一七三〇〜八一年)の作品も公開。国重要文化財(重文)に指定されている品も間近で見ることができる。

 ボタンは、二千平方メートルの庭園内の花壇や鉢に植えられており、十二日に開花した。透き通るような薄いピンク色の花びらが特徴の「春光寿(しゅんこうじゅ)」や真っ赤な大輪の「初霜錦」、黒っぽい赤紫色の「初烏(がらす)」などがある。見頃は週末ごろまで続く。入園料は一般四百円、中高生は二百円。

 寺を訪れる人の休憩所として五十年前に先代の住職が庭園を整備し、ボタンを植えたことが始まり。今ではボタンの名所として定着し、多くの人が訪れている。明和町金剛坂のパート、高尾利子さん(70)と母の鈴木美代子さん(90)も毎年見に来ているという。鈴木さんは「今年もすごくきれい」。高尾さんも「つぼみを見ても、どんなふうに咲くのかなとワクワクする」とスマートフォンのカメラを向けていた。

 蕭白の作品十一点は、客殿に展示する。蕭白は京都に生まれ、近隣を旅しながら絵を描いていた。おどろおどろしく迫力のある画風から「奇想の画家」と評される。朝田寺には二度訪れ、作品を残したという。

 かつては地蔵菩薩(ぼさつ)立像(重文)が安置されている本堂の左右の壁に張り付けられていた、二枚で一対の「唐獅子図」(重文)は、滝を背景に岩を上る獅子が描かれている。寺によると、山門の仁王像や神社のこま犬のように、地蔵菩薩の守り神として描いたとみられるという。

 本堂に入ることもでき、唐獅子図があった当時に思いをはせることもできる。拝観料として一般は五百円、中高生は二百円が別途必要。榎本義譲住職(73)は、「花は今が一番良い時期で、絵画は実際にあった場所である寺で見ることでしか味わえない雰囲気がある。年に一度だけなので、ぜひ見に来てほしい」と話す。

 (清水悠莉子)

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