国内屈指のヤマザクラの名所として知られる桜川市で、桜の花からはちみつを採取する試みが始まった。上品でさっぱりとした甘みが特徴で、これまでのはちみつとは違った味わいと評判は上々だ。同市平沢地区で試食会が開かれ、住民ら約三十人が新たな特産品の誕生に期待を寄せた。(出来田敬司)
このはちみつは、茨城・栃木県境に位置する高峯(標高五二〇メートル)一帯のヤマザクラからつくる。五霞町の養蜂家の松沼孝行さん(46)が開花時期の三月下旬から四月下旬、山から約一キロ離れた平沢地区の民家に巣箱を設置。約二十四万匹のセイヨウミツバチを飼育し、みつを採取した。
この地域には、桜と花期が重なる菜の花があまりなく、ほとんどヤマザクラのはちみつになる。ただ、「今年は雨が多くてハチが飛びにくい上、花からみつが流れてしまった」と松沼さん。収量は目標の五十キロに及ばず、約四十キロだった。
平沢地区で十五日に開かれた試食会には住民、市職員らが参加した。松沼さんは巣からみつを絞り出し、ざるでこしてはちみつをつくる作業を披露。住民らはパンやパンナコッタとともにはちみつを味わった。
近くの主婦大橋美智子さんは「香りが強くて食後も口の中に残っている。はちみつは毎日スムージーにして食しているが、味が全然違う」と目を丸くしていた。市ヤマザクラ課の久見木憲一課長は「市内の養蜂はこれまで決して盛んではなかった。今後はヤマザクラをPRするとともに、はちみつの商品化にも取り組みたい」と意気込んだ。
はちみつづくりは、市の新しい特産品を選定する「さくら川百貨」審査員の田野島万由子さんの発案。高峯一帯は数千本のヤマザクラが自生。春には新芽の緑と桜の紅色がパッチワークのような絶景を織りなし、観光客が押し寄せる。
野菜ソムリエでもある田野島さんは二月上旬、こうした市の資源を新しい特産品づくりに生かしたいと、はちみつづくりを市に提案。桜の開花が目前に迫る中、松沼さんや地域住民の協力を得ながら計画が急ピッチで進められた。
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