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Saturday, April 25, 2020

『好きだった君へ PSまだ大好きです』――桜庭一樹のシネマ桜吹雪【最終回】 - 文春オンライン

 ここは新作映画を紹介するコラムなのですが、四月七日の緊急事態宣言で多くの映画館が閉まってしまいました。Netflixなら配信で観れるからと新作を探してみたものの、評判のよい『最高に素晴らしいこと』や『ロストガールズ』は、傑作の気配はするが、こんな時に見るには重く感じ、どうにも集中できない!?

 そんな中、楽しめて、時にホロリとして、みんなに自信を持ってお勧めできるのがこの作品です。アメリカ発のティーン向け恋愛映画『好きだった君へのラブレター』の続編なので、ぜひ二本続けてどうぞ。

 

 ララ・ジーンは韓国系アメリカ人の母をなくし、父子家庭で育つ高校生。子供のころ書いたラブレターがいまさら相手の少年の手元に届いたことから、初々しい恋の物語が始まった。奥手なララ・ジーンは、少年と「お互い絶対に傷つけ合わない」と固く約束し、おそるおそる、初の男女交際に踏み切るのだが……?

 ララ・ジーンの青春の悩みには普遍の懐かしさが満ちていて、自然と親目線でハラハラ見守ってしまいます。自分がタブレットを覗きこむ観客だから、助言してあげたくても声が届かないということと、亡くなったララ・ジーンのママが、天国にいるから娘を励ますことができないということが、不思議とオーバーラップして感じられ、後半にかけて切ないグルーヴが映画を覆っていきます。

 彼女は女友達との喧嘩と仲直りから、「人は愛しあっていても時に傷つけあうもの。近づくことをもう怖がるまい」と学び、恋愛でも一歩を踏み出します。少女の成長から改めて教えられることが多く、実にしみじみと観終わりました。

 さて、今回でこの連載は最終回です。配信もいいけど、劇場のスクリーンでもまた映画を堪能したいですね! いつかどこかの映画館でお会いしましょうね。皆さまもくれぐれもお気をつけて。ご無事で。また会う日まで。

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