浜松市内の高齢者が入所する2施設で7日、従業員や入所者ら計20人の新型コロナウイルス感染のクラスター(感染者集団)発生が認定された。施設では入所者と介助に当たる従業員が日頃から密接に触れ合う。感染防止対策や万一の場合の運営継続のあり方など、課題が改めて浮き彫りになった。
2施設を運営する「リリーズ」(同市東区)の加藤源一専務は同日、取材に「家族、関係者に迷惑をお掛けし、申し訳ない。感染がこれ以上拡大しないよう対策を強化する」と陳謝した。
6日までに入所者7人と兼務を含む従業員8人の計15人の感染が判明したグループホーム「グレィス有玉」(同区有玉南町)。同施設の全入所者は18人。同社によると個室制だが、ケアの一環として食事は共同スペースでとり、入所者同士のだんらんもあった。自力で食事や排せつが難しい入所者は従業員が介助し、接触は多かった。
同じくクラスター認定された有料老人ホーム「天王謝老夢」(同区天王町)も個室制だったものの、介護や支援が必要な入所者が多かったという。
医療関係者によると、両施設の従業員はマスクと防護服を着用して入所者のケアに当たっていた。一方、防護服の着脱方法や手指衛生の方法などには課題があったという。
従業員にも多数感染者が出たため、施設と県や市は感染していない入所者のケア継続に向け、外部からの人員派遣について協議している。同市の山下昭一健康福祉部長は「市民の不安解消に向け、(高齢者施設を運営する)全事業者に改めてしっかり対策を取ってもらうよう要請する」と話した。
同社ホームページによると、同社は2000年設立。市内で有料老人ホームや訪問介護センターなどを展開している。
■重症化や認知症悪化懸念 浜松医療センター院長補佐 矢野邦夫氏に聞く
浜松市内の高齢者施設2カ所で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)の発生が確認された7日、感染症に詳しい浜松医療センターの矢野邦夫院長補佐(65)=写真=が取材に応じ、高齢の感染者の重症化をはじめ、認知症の悪化などの新たな問題が発生する可能性に懸念を示した。
致死率、重症化率が高いとされる高齢者の治療は「経過を見ながら、必要に応じて薬を前向きに使う必要がある」と指摘。入院による生活環境の変化で生じうる認知症の悪化や、認知症の感染者をケアする医療スタッフの負担も不安要素に挙げた。
矢野氏は、クラスターが発生した施設ではPCR検査で陰性となった従業員や入所者も定期的にPCR検査を実施することが望ましいと考えるが、「検査体制を考えると、現実的には難しい」という。「クラスターはどこの施設でも起こり得る。油断はできない」と強調した上で、陽性者が出たら隔離する対応を繰り返し、陽性者が出ていない施設も定期的な手洗いとマスクの着用を一層強化すべきと呼び掛ける。
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